先生の学生時代「輝く文教OG」♯1
OG:光石千夏さん(写真右)/人間言語学科2011年度卒 広島文教女子大学附属高等学校 国語教諭 インタビュアー:藤井ちえ(写真左)/PiNECoNeS LLP 代表/株式会社 TOWN DESIGN LABO 代表取締役
藤井:いつも光石(みついし)先生と呼ばれていると思うんですけど、今日は一人の女性としてお話しを 聞きたいので「千夏さん」と呼ばせていただいていいですか?
光石:はい、どうぞ。
藤井:では、千夏さん、よろしくおねがいします。現在、文教高校(※広島文教女子大学附属高校)の教 師をしていらっしゃるんですよね?そして、ご自身も文教高校の出身でらっしゃるそうですが?
光石:はい。高校、大学と文教で過ごし、教師としてまたこの文教高校に戻ってきました。文教のことが 大好きだったので、教師としてまたここに戻って来られたことは本当に幸せですね。
藤井:そもそも、千夏さんが教師になりたいと思ったきっかけは何だったんでしょう?
光石:小学2年生の時の担任の先生が大好きで、文集に先生になると書きました。その後、中学、高校で もすばらしい先生との出会いがたくさんあって、私もそんな風になれたら、って思ったのがきっかけで す。
藤井:なるほど。そういう出会いが千夏さんを教職へと導いたんですね。では千夏さんの学生時代のこと を教えてください。高校や大学ではどんな学生さんだったんですか?
光石:高校では生徒会執行部に所属し、生徒会長をしました。大学では大学祭実行委員会に入って、3年 次には実行委員長も経験しました。
藤井:そうした経験で得たものって何でしょう?
光石:たくさんあるのですが、大学祭を統括する立場として、限られた人員の中で誰か 1 人に仕事が集 中してしまわないようにとか、それぞれが得意なことを活かした活動ができるようにとか、一人一人に 目配り気配りする気持ちというか、そういう力はその時に培われたかもしれません。
藤井:アルバイトや恋愛についてはどうですか?
光石:アルバイトとか恋愛とか、学生の間にしかできないことってたくさんあると思うんですけど、もち ろんアルバイトもいくつか経験しました。でも私はそれよりも時間があれば大学に行きたいって思って いました。
藤井:それは学生でいたいという気持ちではなく?
光石:うーん。私の場合、学生でいたいという気持ちとはちょっと違って、この学校に居続けたいなと思う瞬間がいっぱいあって……。
藤井:それはすごい。私は学生時代にそこまで思ったことはなかったかなあ。千夏さんが「学校に居続け たい」と思った理由は何だったんですか?
光石:やはり先生方の存在ですね。大学に行くと先生方からたくさんの学びや気づきがもらえたので、ア ルバイトや恋愛よりも大学に行くことの方が大切だと思っていました。
藤井:千夏さんにとって先生方の存在はとても大きいものだったんですね。文教大学の先生方の指導方 法について、もう少し詳しくお聞きしたいです。
光石:学生数が少ないということもあると思うんですが、先生方が生徒一人一人に目を配ってくださっ ていて、それを日々の大学生活でしっかり実感できるんです。
藤井:なるほど。
光石:例えば学生が助けを求めているときは親身になって相談にのってくださるし、学生自身が自分で がんばる時だと思ったら、距離をとって見守ってくださる。そうした適度な距離感で指導してくださる のが最大の魅力だと思います。
藤井:今、千夏さん自身も教師として高校生たちを指導する立場にあるわけですが、なりたい教師像とい うのはありますか?
光石:やはり私も文教の先生方のように、生徒との距離感がわかる教師でいたいと思います。 生徒との年齢の差はこれからどんどん開いていきます。そうした世代間で生じるギャップを無理に埋めようとしたり、近づこうとしたりするのではなく、生徒が求めていることがわかる先生でいたいんです。 距離をとるのが必要な時、そばにいてほしい時、背中を押してあげないといけない時、それを見極めて生 徒の精神的な成長をサポートできるような教師になりたいです。
藤井:これまでの話をお聞きしていると、千夏さんはもう、そういう教師になっているんじゃないかと感 じます。
光石:いえいえ!まだまだです。一生懸命やっていても、やっぱり「あの時、もっとこうしてあげていれ ば」と後悔することもたくさんあります。
藤井:では最後の質問です。1日だけ文教大学生に戻ることができたら何をしますか?
光石:1日中、学校にいたいです(笑)そして先生の研究室に行って、たくさん話をしたい。絶対に得るものがある、そう思うんです。
藤井:お話しを伺って、千夏さんの文教大学への強い信頼と深い愛情がすごく伝わってきました。今日は どうもありがとうございました。
光石:ありがとうございました。
インタビューを終えて
まるで大学生の千夏さんがそこにいるかのように感じながら。話しをお聞きした 1 時間。 文教大学を「居場所」だと感じ、「ここに戻って来たい」「ここにずっといたい」と思っていたという話を 聞いて、文教大学の先生方と千夏さんの強い絆を感じました。 今は教師として生徒たちに伝える立場にある千夏さん。文教の伝統や教えを、次の文教生に繋げていっ てくれることでしょう。
インタビューを終えた後、千夏さんの思い出の場所だという演習室にお邪魔してみました。中に入ると 教職の本がズラリ。千夏さんが、ここで友達と笑ったり一所懸命勉強して、教師になるいう夢を叶えたの だと思うと感慨深く、熱い想いが胸にこみあげてきたのでした。
文:イソナガアキコ/写真:西 晴子