”打ち込む”が人を育てる。 和太鼓部「仁」

太鼓打ちを育てるつもりは更々ないんです。

和太鼓部「仁(じん)」の石井先生がそう語ると、

3年生部員の二人も力強く頷いた。

「太鼓はいわば媒体です。太鼓を通じて出会い、人間関係を築く力を養うことができれば、

 学生にとって一生涯役に立つものになると思っています。」

石井顧問は文教女子高校の体育教師から校長まで務めた筋金入りの教育者。

そのまっすぐな視線と力強い言葉は、これまでの多様な経験と一人ひとりへの生徒に対する深い愛情から成り立っていることが手に取るように伝わり、聞く者の心の深部に響く。

「私は高校時代から太鼓に対する憧れがあって、大学に入ったら絶対やろうって決めてました。

 私は自分中心というかすごく負けず嫌いなところがあって、集団行動は苦手な方でした。

 憧れはあったのですが、実際入ってみると、思うようにいかないことばかりで、本当によく泣いてました。」

そう話してくれたのは現在3年生の吉川さん。

インタビューに訪れた際、満面の笑みで我々に接してくれ、話を聞く順番や場所など段取りを真っ先に確認してくれた彼女からは意外なコメントだった。

「ずっと一人でいることが好きな性格だったのですが、今は本当に仲間っていいなと思えます。本音を言い合える仲間がいることで、人と一緒にいることが楽しいと思えるようになりました。」

泣き虫だった彼女も、今では石井先生をして「篠笛(しのぶえ)の第一人者」と言わしめるほど。和太鼓サークルになくてはならない存在だ。滝のように涙を流して感情を表現する彼女を先生はじっと見守り続けてきた。一人の大人の女性に対する指導法として、あえて何も言わず、本人が心にけじめをつけることを待っていたと石井先生は語る。

「太鼓をやりたくて入ったのに、思うようにいかなかったり、それまで吹奏楽部だったということで笛ばかり吹くことに悔しさを感じて泣いていた時期もあります。でも今は、自分が出来ることが全体の役に立っていると思えるようになって、そんなことを全く思わなくなりました。」

人との関係性を努力してつくり、見る方の心を打つ演奏を目指す和太鼓部での活動を通じ、彼女が仲間と体験を分かち合う喜びを知り、ひとまわり成長したことが見て取れた。

 

「私は高校時代は帰宅部でした。大学に入って、寮の先輩に勧められたのが和太鼓部でした。それまで熱心に部活に打ち込む経験がなかったので、この機会にやってみようと思って入部を決めました。でも最初は何度やめようと思ったことか。。。 

石井先生からはバチみたいな奴(華奢だったという意味)って言われてたみたいで、実際太鼓を叩き続ける体力も無くて、苦労しました。」

 

大きくハキハキとした声で喋ってくれる中岡さん。彼女もまた現在3年生。部活の中では

誰に言われるわけでもなく全体のフォローをする「スーパーサブ」的存在だ。

  入部したときは「超ネガティブ思考だった」と石井先生に表現される中岡さん。どうやら今では随分変化したようだ。彼女の発言には確固たる自信が感じられる。それにはやはり部活を通じた気づきがあったようだ。

「先生からもっと素を出せ、と言い続けられてました。今思えば、それまでの自分は無意識のうちに出したく無いことには蓋をしていたので、すごく苦労しました。部活の中で先生や先輩、仲間ととことん話をしていく中で、自分の出し方がわかってきました。そうすると、親や周りの方々に支えられていることを改めて感じられ、辞めたいという気持ちは全くなくなっていました。」

「入部からスーツのサイズを2回も大きくしたんです。年間40回ほどのステージがあって、そういった経験を通じて人見知りがなおったんです。和太鼓部は自分を変えることが出来るし、最高の仲間に出会える場所です。」

 

大学進学をきっかけに彼女が自分を変えようと思って選んだ和太鼓部との出会いは、きっと偶然ではなかったのだろう。周囲に感謝しながら、ひたむきに努力を重ね、ありたい自分の姿に近づく彼女に”バチ”と呼ばれた面影はなかった。

「演奏する側の心が重なっていない演奏で、お客さんを感動させるのは詐欺です。和太鼓部の活動の場は道場であり、トラブル大歓迎なんです。稽古やステージを通じ、努力して人間関係をつくって心と音をが重なった100点の演奏を目指したいと思っています。だから、俺が部活やめるわ!みたいなことも言いますよ。」

「いやいや、違うでしょ、なんでそうなるんですか!って止めに入りますけど。」

と、すかさず中岡さん。

「現在部員は総勢31名、私が赴任したときは6名でした。学内外から少しづつ評価されている結果だと思いますし、学生の努力のおかげで一目置かれる存在になりつつあると感じています。和太鼓は日本の伝統文化でもあります、是非この文化に触れることを通じて、仲間同士の絆を強くする能力や体験をしてもらえたらなと思っています。」

夕暮れに響く和太鼓部の演奏は、強く、あたたかく、心を震わされた。先生も含め、全員が自分をさらけ出し、本音でぶつかり合う中でしか見つけられない、かけがえのない経験と成長を、部員の皆さんは掴み取っているように見えた。

輝く和太鼓部の活動は今後、地域のお祭りや、文教大学のオープンキャンパスで演奏が予定されているので、みなさんも是非実際にご覧になっていただきたい。

 

〜オープンキャンパスでの演技風景〜

〜宮島口駅でのJR西日本のクルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS”瑞風」歓迎パフォーマンス〜

 

ー2018年度のオープンキャンパス情報はこちらからー

2018年7月22日、8月5日・18日、9月23日

http://www.h-bunkyo.ac.jp/university/admission/oc.html

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cocorozasu編集部
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